Q1
「工房からの風」への出展作品についてお尋ねします。
inch”さんの代表的な作品、または、定番的な作品、作り続けている作品の中から、ひとつをご紹介ください。
A1
メタルのライブに行くときに着けたいと思ったものを作り始めたのがアクセサリー制作のきっかけです。
スタッズブレスレットもそのひとつ。
けれど、ライブで兄の振り上げる腕のスタッズ(金属製)ブレスレットが頭に当たって地味に痛かった。
これはモッシュでも危険に違いない。
編みなら柔らかく仕上がるし、ビーズを編み込めば金属の雰囲気を持たせることもできる。
天啓を得たような気がしました。
それから、より編み地が綺麗に並ぶように、取ってつけたようなトゲではなく、自然と生え出たような一体感のあるトゲにしたく、何度も改良しました。
糸とビーズだけで仕立てているので、水に濡れても安心。
汗も海も気にせず身につけられます。
行きたい場所へ、したいことへ、自分らしい装いとともにご堪能ください。
Q2
もう一つ作品について教えてください。
今回、特に見ていただきたい作品はどのようなものでしょうか。
新作や、今特に力を注いでいる作品についてひとつをご紹介ください。
A2
「編みたい」という渇望にinch”らしさを足したらクッションになりました。
背に座ると収まりが悪く、酷く座り心地の悪いクッションですが、
あるだけで楽しくて、抱き抱えると心地よい最高のクッションだと思います。
Q4
「工房からの風」の出展が決まってから、inch”さんに起こった変化について教えてください。
A4
“ どうしたらもっと届けられるだろう ”
と思い、「手しごとを結ぶ庭」を手にしました。
届けるためのディスプレイでの心構えなど、何かヒントを得られるのではないかと思ったのです。
本を開いて4ページ目の序文にあった “ 結ぶ ” という言葉から、届けるんじゃないんだ!結ぶんだ!と衝撃に固まってしまいました。
そもそもから違うんだと呆然としてしまったのです。
そこから読み進めるうち、コンセプトに囚われてはいなかっただろうか?
売るためのコンセプトになってはいなかっただろうか。
簡単な編みだから、単純な編みだからと美しいと思っても遠ざけていなかっただろうか?
純粋な編みたいという迸りに蓋をして見なかったことにしていなかっただろうか?
と思いがけず、原点を省みることに。
「工房からの風」まで2ヶ月を切っているのに!!
ただ、ビーズが整然と並ぶ姿そのものに、美しさを感じています。
その静かな美しさが、どなたかの心に届き、共感を結ぶことができたら。
『ライブで兄の振り上げる腕のスタッズ(金属製)ブレスレットが頭に当たって地味に痛かった。
・・・
編みなら柔らかく仕上がるし、ビーズを編み込めば金属の雰囲気を持たせることもできる。』
ビーズの細やかな表情の原点が、メタルのライブだったとは。
インチインチさんのデザインの個性と、それを形作る誠実な技術が響きあったビーズ作品は、唯一無二のもの。
第一印象とその奥にあるものの素敵なギャップを、ぜひ会場で感じてみてください。
インチインチさんの出展場所は、コルトン広場スペイン階段前。
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